そぞろごと

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ドラムについて思うこと

宅録に興味をもつと、どうしても視野に入ってくるのが打楽器だ。もちろん、打楽器のデジタル音源は数限りなくあって、そういうものを使うほうが DTM としての完成度は高くなるのかもしれないが、生楽器を演奏の主体とするのなら、やはりアコースティック打楽器は外せない。

そういうわけで、前から欲しかったスネアをヤフオクで買った。どうせ本格的にやるわけではないから、とにかく安いものを、と考えて、500円の台湾製のを落札した。



大方のドラマーにとって、500円のスネアなんて何の価値もないだろう。しかし私にはこれで十分だ。そもそも私はスネアの音色の違いがよくわからず、だれがどんなメーカーのものを叩こうと、どれもいっしょにきこえてしまうのである。そんな人間が高価な楽器を手に入れたところで、まさに猫に小判、豚に真珠のたぐいであろう。

さて、ドラムという楽器はうちで練習しにくい楽器の最たるもので、とにかく音がバカでかい。野中の一軒家ならいざ知らず、住宅街では地下に防音室でも作らないかぎり、自宅で練習するのはむりだ。

私はスネアをスティックで叩くのははなから諦めている。スティックではなくてブラシこそが、四畳半ドラマーの必須アイテムでなければならない。幸いにして、いまでは動画サイトなどで名手の演奏が居ながらにして視聴できるので、そういったところから技を盗めばいい。

私が意外に思ったのは、ブラシでもけっこう大きな音が出ることだ。CDに合わせてシャカシャカやると、CDの音がかき消さされてしまうほど。たしかに考えてみれば、ドラムセット全体でピアノ、ベースと張り合うくらいの音量はあるわけだから、それも当然だろう。地味でせこいと思われがちなブラシ奏法だが、音量だけでもすでに四畳半的枠組みからはみ出している。


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もともとは独立していた大太鼓や小太鼓、シンバルなどを組み合わせて、一人で演奏できるようにしたいわゆるドラムセットが一般に認知されたのは、そう古いことではない。たぶんその歴史は100年くらいしかない。しかしそのごく早い時期に、すでに今日とあまり変らないドラムセットが確立されているのは驚きだ。

もちろんその後もドラムは進化を続けていて、今日ではマジキチといいたくなるようなセットもあるが、やはり一般的には3点セットプラスαのようなのが好まれるようだ。なぜかというと、ドラムの役割をリズムの表現に限定すると、そんなにたくさんの太鼓は必要ないし、数が少ないほうがなんといってもコントロールが楽だろうから。

むやみやたらと太鼓の数をふやすドラマー*1は、おそらくなにか勘違いをしているんだと思う。つまり、かれらはドラムセットをリズム楽器としてではなくメロディ楽器として扱おうという心組みらしいが、これに非常な無理があることはだれでもわかるだろう。人間の耳は個々のドラムの音の微妙な違いを聞き分けられるほどよくはないので、なんだかわからんけどいろんな太鼓がごちゃごちゃ鳴ってるなあ、というくらいの反応しか期待できない。そもそも人は口ずさめないような音の連なりをメロディとは認識しないのである。

私はそういう最先端の(?)ドラマーから遠く離れて、3点セットにも満たない2点セットでリズムを追求していきたい。2点セット、つまりスネアとハイハットだ。これらをスティックではなくブラシでこすったり叩いたりしてリズムの表現をするわけだが、ちゃんとした音楽になるまで、何年かかるだろうか?