そぞろごと

本、鉱物、音楽、etc.

メタ・コレクター

樋口一葉たけくらべの原稿がオークションにかけられ、けっこうな値段で落札されたとのこと。ううむ、いったいどういう人が落札したんでしょうね。

前所有者は飲食店の経営者で、「価値のわかる人に譲りたい」とのことでオークションに出品したらしい。価値のわかる人。これはよく目にするフレーズだ。まあ、たしかにそれはコレクターの本音ではあるだろう。

しかし、じっさいはどうだろうか。価値がわかろうがわかるまいが、貴重品は金のある人のところへ行くのが常道だ。コレクションにあたって大切なのは、審美眼ではなくて財力なのである。

私も数年間、コレクションに憂き身をやつしてきて、それがはっきりと富の世界であることに気づいたとき、ここは自分のいるべきところではないな、と悟った。

それ以来、私はコレクションしないコレクター、つまりメタ・コレクターになることにきめた。

メタ・コレクターの目からすれば、一葉の貴重な自筆原稿を、飲食店の経営者が所有していて、みずから「価値がわかる」と思い込んでいるのがそもそも噴飯物なのである。