本の余白に

読書メモ

「宦官」 三田村泰助著

中国という国の変態性、異常性がよくわかる本。「宦官の研究は、単なる猟奇的な好奇心をこえて、中国史の重要な課題の一つである」と著者はいうが、「単なる猟奇的な好奇心」の向こうに広がるのは、さらに奥深く複雑な猟奇の世界なのであった。

日本は建国以来、つい最近にいたるまで、中国を偉大な手本としてきた。しかし、日本が取り入れた中国文化は、そのほんの上澄み、精華だけであって、その下にあるどろどろしたもの、非合理なものは棄てて顧みなかった。それはそれでよかったし、日本という狭い小さい国には、そういう大陸文化の根底に横たわる非合理の層などしょせん根づきはしなかっただろう。

われわれは宦官を通じて、そういう中国の底知れなさの一端を垣間見ることができる。もう今から半世紀も前に出た本なので、情報としては古くなっているかもしれないが、入門書としては最適の一冊だと思う。


宦官(かんがん)―側近政治の構造 (中公新書)

宦官(かんがん)―側近政治の構造 (中公新書)